FXトレードをしていると、期待していたレートとは異なる価格で決済が行われるのでは?と感じることがあります。
実際、利益が出ると予想していた取引が結果として損失になった経験を持つ人も少なくないでしょう。これは、FXトレードにおいて「スリッページ」と呼ばれるもので、トレードにおいて損失を引き起こす要因となり得ることから、決して軽視してはいけないものです。よってスリッページがでるようなFX業者かどうかをまずは情報を集めたうえで確認することが大事になります。
今回は、FXにおけるスリッページとは何か?そしてそのスリッページをどのように回避すればよいか?について説明していきます。
スリッページとは?
FXにおけるスリッページとは、「注文した価格と実際の約定価格に差が生じる現象」のことを指します。スリッページは、市場が急激に変動したり流動性が低下したりする際に発生しやすく、トレーダーの利益や損失に直接影響を与える重要な要素となっています。
スリッページが発生する主な要因には、次のようなものがあります。
市場のボラティリティの高さ
たとえば、経済指標の発表や要人発言など市場に大きな影響を与えるニュースが出ると価格が急変し、注文した価格での約定が難しくなります。
流動性の低さ
取引量の少ない通貨ペアや通常の取引時間外では、売買のバランスが崩れやすく希望価格での約定が難しくなることがあります。特に、大口注文を出した場合、市場価格に影響を与えやすくスリッページは発生しやすくなります。
取引プラットフォームやブローカーの技術的要因
たとえば、注文の処理に時間がかかるとその間に市場価格が変動し、希望価格での約定が難しくなります。また、一部のFX業者はスリッページを利用して不正な利益を得ることもあることから、信頼できるブローカーを選ぶことが重要です。
ポジティブスリッページとネガティブスリッページ
スリッページには「ポジティブスリッページ」と「ネガティブスリッページ」の2種類があります。ポジティブスリッページは、注文した価格よりも有利な価格で約定するケースでトレーダーにとっては利益をもたらす可能性がありますが、一方でネガティブスリッページは、注文価格よりも不利な価格で約定するケースを指し、損失が拡大するリスクがあります。
スリッページは必ずしも悪いものではなく、状況によってはトレーダーに有利に働くこともあります。しかし、ネガティブスリッページの影響を抑えるためには、流動性の高い時間帯に取引することや、約定力の高いブローカーを選ぶことが大事です。
スリッページを防ぐ方法
スリッページを回避する方法は主に2つあります。具体的にその方法について詳しくお伝えしていきしょう。
許容スリッページを設定しておく
各FX業者はそれぞれ異なる特性を持っていますが、許容スリッページを設定できる業者は多く存在します。
以下は、あくまで参考ですが、このような値を自身で決めておけば、それを逸脱した場合にFX業者変更を考えてよいかもしれません。
スキャルピング | 0.3pipsから0.5pips |
スイングトレードや今の取引を必ず約定させたい場合 | 5pips |
値動きの激しい相場で取引する場合 | 5pipsから10pips |
その他 | 0pipsに近い数値 |
なお、スリッページを完全にゼロに設定することも可能ですが、それには注意が必要です。
その場合、指定した価格以外では取引が成立しなくなるため急激な価格変動時には取引がまったく成立しないリスクを伴います。市場が大きく動いている状況では、迅速な取引が求められるため、スリッページをゼロ設定していると注文が成立しないどころか結果的に損失が拡大する可能性があります。
活発な市場環境では、許容スリッページを5pipsから10pips程度に設定することで、取引の成立率を高めながら大きな価格差を避けることができます。ただ、一度決めたら終わりではなくトレードスタイルや市場の状況に応じて柔軟に見直すことが重要で、スリッページの許容範囲を適切に調整することで、効率的かつリスクを抑えた取引が可能です。
約定力の高いFX業者を選んでおく
スリッページの原因にはさまざまな要因がありますが、FX業者の約定力はとても重要です。FX業者の約定力が高ければ注文を出してから約定するまでの時間が短縮され、スリッページのリスクや約定拒否のケースが減少します。一方で、約定力が低い業者では、注文から約定までの時間が長くなることがあり、その結果スリッページや約定拒否のリスクが増加します。
つまり、約定力が高いFX業者を選べば、トレーダーは希望する価格とタイミングで取引を行いやすくより安心して取引を進めることができるのです。ただし、スリッページの頻度やタイミングはFX業者ごとに異なるため、スリッページリスクを最小限に抑えるためには、複数の業者を利用してそれぞれの特性を比較・分析することがよいでしょう。
その上で業者ごとの特徴を活かし、最適な選択をすることが重要です。それ以外にも、SNSやブログ等の情報をチェックしておくことでリスクを減らすことができます。
スリッページにおける注意点
スリッページについて理解する際にはいくつか注意点があります。これらのポイントを知っておくことで、トレードを有利に進めることが可能になります。
スリッページに振り回されないように
スリッページによる損失リスクを意識するあまり、その問題に過度に注意を向けてしまうことがありますが、それが原因で取引のタイミングを逃したり、利益を得るチャンスを失うのは避けましょう。
スリッページの影響は、投資のスタイルや戦略によって異なるため一概に捉えることはできません。たとえば、スキャルピングやデイトレードのように短期的かつ頻繁に取引を行うスタイルでは、スリッページが取引結果に与える影響は大きくなります。その一方で、スイングトレードや長期トレードでは、スリッページの影響は比較的少ない傾向があります。
よって、スリッページに対して「これが正解」という唯一の解決策を求めるのではなく、自分の投資スタイルや戦略に合った適切な対策を講じることが大事です。
逆指値注文ではスリッページが効かないケースがある
逆指値注文とは、価格が設定した水準を上回ると購入し下回ると売却する仕組みの注文方法のこと。この注文が条件を満たすと、実際の市場価格で取引が行われるため、スリッページが発生する可能性があります。
逆指値注文は「ストップロス注文」としても知られ、主に損失を抑える目的で利用されます。最大の特徴としては、条件を満たした時点で自動的に取引が執行されることにより取引が成立することそのものが重要視されるため、許容スリッページの設定が影響を及ぼすケースは少なく、設定価格と市場価格の差を受け入れることが前提となります。