FXトレードに関心があるサラリーマンの中には、副業として取り組むことを検討している方もいると思います。また、インターネットで情報を得てお小遣いを増やしたいという理由から、FXに挑戦しようとする高校生のような未成年者も一定数いると思います。ただし、未成年者がFXの口座を開設できるかどうかについては疑問が残ります。
本記事では、海外FX口座開設の年齢制限について見ていきます。
FX口座開設の年齢制限
FX業者によっては、トレードする年齢に制限が設けられている場合とそうでない場合があります。実際、FX業界全体では、ほとんどのFX業者が20歳未満の口座開設を認めていないと言われています。しかし、国内の一部のFX業者や海外業者では、18歳から口座を開設できるケースもあるようです。とはいえ、未成年や高校生が口座を開設できないFX業者が大半のため口座開設には注意が必要です。ちなみに中学生はFX取引を行うことができません。高校生や大学生の中には、条件を満たせば取引が可能な場合もあることを覚えておくとよいでしょう。
海外の方が口座開設が簡単なの?
国内FX業者で未成年が口座を開設する際に必要な書類は次のようなものがあります
- 本人確認書類
- 住所証明書
- マイナンバー
- 親権者の同意書
書類がたくさんあって、口座開設が少し億劫に感じるかもしれません。
それに対して海外FX業者は
- 本人確認書類
- 住所証明書
があれば、口座開設は可能であることが多いです。ただし、出金にはそれ以外の要素が絡んできて条件が付加されます。
提出書類はスマホで写真を撮って送信する形式のため手軽に口座開設が可能です。
FXを始める時に必要なクレジットカード
必要書類が整い無事に口座を開設できたとしても、FXトレードを始める前に準備すべきものがまだいくつかあります。
特に海外のFX業者を利用する場合、得た利益を国内に送金するための銀行口座や必要に応じてクレジットカードが欠かせません。高校生の中には、アルバイトをしていないために銀行口座を持っていない人もいるかもしれませんが、その点については心配する必要はありません。たとえば、楽天銀行では親の同意がなくても口座を開設できるためおすすめです。
一方、クレジットカードは親の許可がなければ作ることが難しいですが、デビットカードであれば親の同意が不要で、簡単に取得可能です。審査も不要で、高校生以上であれば手続きだけで手に入れることができます。
デビットカードは、銀行口座の残高から直接引き落としが行われる仕組みなので、使いすぎる心配が少ないというメリットがあります。新しい銀行口座を開設する際にデビット機能付きのキャッシュカードを申し込めば、一度の手続きで両方を用意することができる可能性があります。
納税の知識を身に付けておく
FXで収益を得た場合、高校生や大学生であっても税金の支払い義務が生じます。その際の確定申告を避けることはできません。特に、国内FX業者と海外FX業者では税金に関する扱いが異なるため、それぞれのルールを正しく理解しておく必要があります。
国内FXでは、税率が一律20.315%に設定
海外FXの場合は総合課税が適用され、累進課税の対象となる
総合課税の場合は、アルバイトなどの収入とFXでの収入は合算して所得を計算する必要があります。このため、アルバイトの有無によって確定申告が必要となる収入の基準が異なります。アルバイトをしている場合は、年収が130万円を超えると確定申告が必要になりますが、アルバイトをしていない場合は、収入が38万円を超えると申告が必要です。確定申告を怠ると、脱税と見なされるリスクがあるため、これらの収入基準を超える場合は必ず申告することが求められます。
また、収益が大きくなると親の扶養から外れる可能性がある点にも注意が必要です。扶養から外れると、親の扶養控除が適用されなくなり、結果として家計全体の税負担が増加する場合があります。
特に海外FXでは、収入が38万円を超えると扶養から外れるリスクがあるため、慎重な収益管理が求められます。海外FX業者を選ぶ際は、累進課税制度が適用される点を忘れてはなりません。収益が増えるほど税負担も大きくなるため、こうした仕組みを十分に理解し、適切な対策を取ることが重要です。
累進課税の仕組み
累進課税は「段階的税率」を採用しており、課税所得(収入から必要経費や控除額を差し引いた額)が特定の範囲に収まるごとに異なる税率が適用されます。日本の所得税では以下のような階層的な税率が設定されています。
課税所得金額 | 税率(所得税) | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超~330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超~695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超~900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超~1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超~4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
これらの税率は「課税所得の全額」に対して適用されるのではなく、所得がどの階層に該当するかによって分けて計算されます。
累進課税の計算例
たとえば、課税所得が500万円の場合には次のように計算します。
- 195万円以下の部分:195万円 × 5% = 97,500円
- 195万円超~330万円以下の部分:135万円(330万円 - 195万円) × 10% = 135,000円
- 330万円超~500万円の部分:170万円(500万円 - 330万円) × 20% = 340,000円
合計税額 = 97,500円 + 135,000円 + 340,000円 = 572,500円
控除額(427,500円)は所得税の計算時に引かれるため、最終的な税額は 145,000円 になります。
年間38万円以上の利益を得た場合
FX取引で得られる収益は、必ずしも38万円以下に抑える必要はありません。実際には、適切に経費を計上することで節税が可能です。FX取引を行うためにはインターネット接続や取引用のデバイスが必要となり、これらの費用を経費として申告することができます。
たとえば、10万円で新しいコンピュータを購入した場合、その購入費用を経費として収益から差し引くことが可能。仮に、FXで毎月4万円の利益を得ている場合、年間収益は48万円になります。この金額をそのまま申告すると税金が発生しますが、10万円のコンピュータ購入費を経費として計上すれば、48万円から10万円を差し引いた38万円を収益として申告できます。
さらに、インターネット料金の一部も経費に含めることができます。月々のインターネット料金の半額、2500円を経費として計上すれば、年間で3万円になります。この3万円をさらに差し引けば、38万円から3万円を引いた35万円を年間収益として申告可能です。
このように、経費を適切に計上することで、収益を合法的に圧縮し、税金を軽減することが可能です。ただし、確定申告の際には、税務当局に対して経費の根拠を説明できるよ、領収書や利用明細書などの証拠をしっかりと保管し準備しておくことが必要です。