FX初心者が知識を求める際、すぐには理解できない専門用語に直面することがよくあります。「pip」はその典型的な言葉の一つです。この言葉は初耳の方にはやさしい印象を受けるかもしれませんが、FXにおいて「pip」とはどのような意味を持つのでしょうか?ここでは、FXの文脈でのpipの定義や、1pipがもつ価格的な価値、そしてその計算方法についてしっかりと解説していきます。
そもそもpipsとは?
FXにおける「pip」とは何を示すのでしょうか?「pip」とは、「ピップ」と読み、これはFXの取引における通貨価格の最小変動値を表す単位です。要するに、これはFX取引を効率的に進めるための尺度となります。この「pip」という単位の導入により、様々な通貨ペアの価格変動やスプレッドを統一的な単位で明示することが可能となりました。では、1pipは実際にはどれくらいの価値があるのでしょうか?その価値は、通貨ペアに円が組み込まれているかどうかによって異なります。
たとえば、ドル円のような円を含む通貨ペアの場合、1pipは0.01円、すなわち1銭を指します。一方、円を含まない通貨ペアの場合、1pipは0.0001の通貨単位となります(ドルのケースでは、それは0.01セントに相当します)。
この差異を深堀して理解するために、さらに詳しく探ることが大切です。
ドル円・クロス円の通貨ペアの場合、1pip=1銭=0.01円
ドル円、ユーロ円、ポンド円など、円を含む通貨ペアにおける1pipは0.01円の価値を持ちます。 これを拡大すると、100pipsが1円と等価です。 既にご承知かと思いますが、円には「銭」という、1円の100分の1という単位があります。 この理由から、1pipは1銭に相当することがわかります。 例として「価格が12pips下落した」と言う場合、それは0.12円、すなわち12銭の動きを指します。 また、MT4やMT5の表示上、少数点以下第二位の数字が1pipの値を示しています。
クロス円以外の通貨ペアの場合、1pip=0.0001通貨単位
ユーロドルやユーロポンドのように、円を含むことなく組み合わされる通貨ペアにおける1pipは0.0001という通貨の単位に相当します。 たとえば、ユーロドルにおける1pipは0.0001ドル、ユーロポンドでの1pipは0.0001ポンドと考えられます。 1ドルが100セントに等しいため、この値は0.01セントとなります。 MT4やMT5の表示では、少数点以下の第四位が1pipの価値を示す数字として表示されています。
pipという単位によってスプレッドは思っている以上に見やすくなっている
以前触れたように、pipという単位の採用により、さまざまな通貨ペアの価格変動、利益の幅、スプレッドを統一的な基準で表示することが可能となりました。このメリットは、特にスプレッドの示し方において明らかです。それは、スプレッドが0.1pipや0.3pipsのように微細な変動を示すことが少なくないからです。もちろん、100銭が1円、100セントが1ドルというような、細かな通貨の単位がある場合には問題ないのですが、そのような単位を常時利用するわけではないのです。その点を考慮すると、pipという単位が存在しない場合、スプレッドを0.00001ポンドのように多くのゼロを伴って示すことになるでしょう。このpipという明確な単位の導入により、スプレッドの表示が直感的になり、多くのトレーダーはそれによって間接的に利益を得ているのです。FX取引は高い集中が求められるため、余計な混乱を排除することは非常に大切です。
1pipがいくらになるのか計算する方法とは?
1pipの価値はエントリーする枚数によって変わります。次に、その具体的な計算方法を示します。
「取引の通貨量(エントリー枚数)× 0.0001 × 現在の為替レート」
この式からも分かるように、1pipの価値はエントリーする枚数に依存します。レバレッジの影響ではなく、実際にエントリーする枚数がキーとなります。例として、1ドル=100円の時にドル円で50万通貨取引した場合を考えてみましょう。 計算式「取引の通貨量(エントリー枚数)× 0.0001 × 現在の為替レート」を適用すると、
50万(取引の通貨量)× 0.0001 × 100円(現在の為替レート) = 1,000円
この結果、1pipは1,000円ということが分かります。 この計算は特に難しくはありません。計算が得意な方ならすぐに答えを出すことができるでしょう。また、スマートフォンや電卓を使用しても短時間で計算が可能です。 しかしながら、計算を手間だと感じる方もいるかと思います。1pipの価値を簡単に知りたいという要望に応えて、専用の計算ツールも提供されています。1pipの価値を瞬時に知りたい方は、これらのツールを利用するのも一つの方法です。
メジャーな通貨ペアにおける1pipがいくらになるのか日本円で換算してみた
メジャーな通貨ペア、主要な通貨ペアとしては、以下のものが挙げられます。
- 「ドル円」
- 「ユーロ円」
- 「ポンド円」
- 「豪ドル円」
- 「ユーロドル」
- 「ポンドドル」
- 「豪ドル米ドル」
- 「ユーロポンド」
これらの通貨ペアに「エントリー枚数(取引通貨量)×0.0001×現行の為替レート」の計算式を当てはめて、エントリー枚数ごとに1pipがいくらになるのかまとめてみたいと思います。
一応、各通貨間のレートは以下のような形で統一しておきます。
- 「1ドル=100円」
- 「1ユーロ=110円、1.1ドル、0.9ポンド」
- 「1ポンド=120円、1.2ドル」
- 「1豪ドル=80円、0.8ドル」
1,000通貨でエントリーした場合
通貨ペア | 1pipがいくらか | 日本円換算 |
ドル円 | 10円 | - |
ユーロ円 | 11円 | - |
ポンド円 | 12円 | - |
豪ドル円 | 8円 | - |
ユーロドル | 0.11ドル | 11円 |
ポンドドル | 0.12ドル | 12円 |
豪ドル米ドル | 0.08ドル | 8円 |
ユーロポンド | 0.09ポンド | 10.8円 |
1万通貨でエントリーした場合
通貨ペア | 1pipがいくらか | 日本円換算 |
ドル円 | 100円 | - |
ユーロ円 | 110円 | - |
ポンド円 | 120円 | - |
豪ドル円 | 80円 | - |
ユーロドル | 1.1ドル | 110円 |
ポンドドル | 1.2ドル | 120円 |
豪ドル米ドル | 0.8ドル | 80円 |
ユーロポンド | 0.9ポンド | 108円 |
10万通貨でエントリーした場合
通貨ペア | 1pipがいくらか | 日本円換算 |
ドル円 | 1,000円 | - |
ユーロ円 | 1,100円 | - |
ポンド円 | 1,200円 | - |
豪ドル円 | 800円 | - |
ユーロドル | 11ドル | 1,100円 |
ポンドドル | 12ドル | 1,200円 |
豪ドル米ドル | 8ドル | 800円 |
ユーロポンド | 9ポンド | 1,080円 |
100万通貨でエントリーした場合
通貨ペア | 1pipがいくらか | 日本円換算 |
ドル円 | 10,000円 | - |
ユーロ円 | 11,000円 | - |
ポンド円 | 12,000円 | - |
豪ドル円 | 8,000円 | - |
ユーロドル | 110ドル | 11,000円 |
ポンドドル | 120ドル | 12,000円 |
豪ドル米ドル | 80ドル | 8,000円 |
ユーロポンド | 90ポンド | 10,800円 |
もちろん、通貨間のレートは常に変化していますので、あくまでも一例という形になります。
ただ、イメージしやすくなったのではないでしょうか?