国内FXと海外FXに対する金融庁の見解とは?

国内FXや海外FXといったFXは、広く金融商品のカテゴリーに属しているため、当然ながら金融庁が監督する領域に含まれます。そのため、金融庁が国内FXや海外FXの存在を認識しているのは言うまでもありません。

では、金融庁は国内FXと海外FXについてどのようなスタンスを持ち、どのように捉えているのでしょう?

本記事では、金融庁が国内FXと海外FXをどのように位置付け、どのような方針を示しているのかについて、詳しく解説していきます。

そもそも日本の金融庁とは?

金融庁は、日本の行政機関の一つで、金融市場や金融機関の監督・管理を行う組織です。正式には「内閣府の外局」として設置されている機関で、金融システムの安定性を確保し、利用者の保護と金融機関の健全な運営を促進する役割を担っています。

金融庁と財務省を混同している人も少なくありませんが、実際には全く異なる組織です。両者ともお金に関する業務を扱っていますが、その役割や担当する業務内容は異なります。

金融庁は日本の行政機関として、金融システムの安全性と安定性を確保することを目的に活動しています。特に、FXをはじめとする金融商品で日本国民が不利益を被らないよう、監視や警告などの重要な役割を担っているのです。監視という言葉は少々きつい印象を与えるものかもしれませんが、投資家を保護して公正な市場環境を維持する上で欠かせない活動をしていると思ってください。

その一環として「登録システム」というものが存在し、日本国内で業務を行うFX業者(国内FX業者)は、システムを通じて金融庁の認可を受けることが求められています。これにより、国内FX業者が適切に運営されるように一定の基準が設けられています。

FX業者が金融庁に登録するメリットとデメリット

国内FXの状況を見ていると、金融庁への登録が必ずしも一方的な利点だけをもたらすわけではないことがわかります。実際に金融庁への登録には多くのメリットがある一方でデメリットも数多く存在します。場合によっては、そのデメリットががメリット以上に悪影響を及ぼすこともあります。

金融庁に登録されるメリット

金融庁に登録される主なメリットは、金融庁から認可を受けたという信頼性を得られる点につきます。つまり、「金融庁公認の安心・安全な国内FX業者です」とアピールできることが、ほぼ唯一のメリットと言えるのです。

金融庁に登録されるデメリット

現在の日本における状況では、金融庁への登録に伴う制約が増加しています。具体的には、金融庁の規制のもとで

  • 取引におけるレバレッジが最大25倍まで
  • ゼロカットシステムが採用されない

このようなルールが設定されているのです。

特に最大レバレッジについては、今後10倍まで引き下げる動きが進行しているのが現状です。

一方で、海外FXの大きな魅力のひとつとして、1,000倍を超えるような高いレバレッジを活用したトレードができる点が挙げられます。高いレバレッジが利用できる環境があるにもかかわらず、日本の金融庁の規制により25倍に制限されるのはもったいないと感じます。

まt、あ海外FXの特徴であるゼロカットシステムも、金融庁に登録することでその恩恵を享受できなくなります。この制度について詳しく知りたい場合は、金融商品取引法第39条を参照するとよいでしょう

第39条 損失補填等の禁止

金融商品取引業者等は、次に掲げる行為をしてはならない。

一 有価証券の売買その他の取引(買戻価格があらかじめ定められている買戻条件付売買その他の政令で定める取引を除く。)又はデリバティブ取引(以下この条において「有価証券売買取引等」という。)につき、当該有価証券又はデリバティブ取引(以下この条において「有価証券等」という。)について顧客(信託会社等(信託会社又は金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第1条第1項の認可を受けた金融機関をいう。以下同じ。)が、信託契約に基づいて信託をする者の計算において、有価証券の売買又はデリバティブ取引を行う場合にあっては、当該信託をする者を含む。以下この条において同じ。)に損失が生ずることとなり、又はあらかじめ定めた額の利益が生じないこととなった場合には自己又は第三者がその全部又は一部を補填し、又は補足するため当該顧客又は第三者に財産上の利益を提供する旨を、当該顧客又はその指定した者に対し、申し込み、若しくは約束し、又は第三者に申し込ませ、若しくは約束させる行為

二 有価証券売買取引等につき、自己又は第三者が当該有価証券等について生じた顧客の損失の全部若しくは一部を補填し、又はこれらについて生じた顧客の利益に追加するため当該顧客又は第三者に財産上の利益を提供する旨を、当該顧客又はその指定した者に対し、申し込み、若しくは約束し、又は第三者に申し込ませ、若しくは約束させる行為

三 有価証券売買取引等につき、当該有価証券等について生じた顧客の損失の全部若しくは一部を補填し、又はこれらについて生じた顧客の利益に追加するため、当該顧客又は第三者に対し、財産上の利益を提供し、又は第三者に提供させる行為

つまり証拠金以上の損失が発生しても、それは自己責任で対応してくださいということです。日本の金融庁の管轄下に入ると、この法律を遵守する必要があるため、トレーダーにとってはメリットがないのです。

日本の金融庁に登録されていないからといって違法になるわけではない

多くの人が気になるのは、日本の金融庁に未登録の海外FX業者を利用することが違法なのか?という点ではないでしょうか。金融庁自体は「違法ではない」と明言しているわけではありませんが、これまでの金融庁の発表や提供された情報を分析すると、違法行為とみなされるわけではないと考えられます。

ただし、金融庁が明確に「違法ではない」と表明すると、すでに登録している国内FX業者への影響を考慮しなければならないことから、この点に慎重な姿勢をとっている可能性もあります。いずれにせよ、日本人が海外FXを利用しても違法ではない点は安心材料です。

海外FXに対する金融庁の見解

海外FX業者が金融庁に公式登録をせず、多くのFXトレーダーから注目を集めている現状について金融庁はどのような立場を取っているのでしょうか?

これについて、金融庁は海外FX業者を「無許可で金融商品取引を行う事業者」と位置付け、「ネット上で店頭デリバティブ取引の誘引活動を行っている」という見方をしています。ネット上に一覧を公開しているので目にする機会もあるでしょう。

明確に対立する姿勢を示しているわけではありませんが、一定の警戒感を持ちながら注意を促しているのが現状で、特に金融庁は一般のトレーダーに対し、公式に登録されていないFX業者を利用検討する際には慎重になるよう呼びかけています。これについては、実質的に「海外FXを利用して金銭的な損害を受けた場合、金融庁として補償や責任を負うことはできない」というメッセージを発しているとも解釈できるでしょう。

海外FXは日本の金融庁によってリストアップされている

先ほど、日本の金融庁が海外FX業者を「無許可で金融商品取引を展開する事業者」と位置付けているとお伝えしましたが、実際に金融庁はこのような業者を特定のリストに掲載しています。多くの人が日常的に金融庁の公式サイトを確認することは少ないため、この情報はあまり知られていませんが、「許可を得ずに金融商品取引を行う業者の一覧」という形で公開されています。

海外FX業者は大手からマイナーな業者まで数多く存在していますが、知名度の有無に関わらずこのリストに記載されている業者は、ある意味好ましくありませんよと言っているのと同義です。ただし金融庁は、海外FXの利用者が増加している現状を認識しており、時折注意喚起を行っているものの積極的な取り締まりを行っているわけではありません。それはおそらく税収にも影響してくるためだと考えられます。

現在のこうした金融庁の曖昧な対応が、利用者にとって不安の原因になることもあり、金融庁自身も適切な方針を模索している段階にあると思われます。

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