海外FX業者について、金融ライセンスの比較がよく行われるのは確かです。実際、各海外FX業者が取得している金融ライセンスは異なります。しかし、金融ライセンスは本当にそれほど重要なのでしょうか?
本記事では、海外FX業者と金融ライセンスの関連性、その重要性について詳しく掘り下げてみたいと思います。
海外FXでの金融ライセンスの必要性は高い
海外FXにおける金融ライセンスは非常に重要です。なぜなら、海外FX業者の信頼性を評価する上で、この金融ライセンスが大きな指標となるからです。海外FXは、高いレバレッジや豊富なボーナスなど、国内FXにはない特長を多く持っていますが、FXを投資ビジネスとして行うためには、各地域での事業許可証、すなわち金融ライセンスが必要不可欠です。
海外FX業者は、各国の金融規制機関から発行される金融ライセンスを取得して運営しています。これらのライセンスは、業者の信頼性や安全性を示す重要な指標となっているため、知っておくと便利です。
なお、金融ライセンスは各国の規制環境や投資家保護の体制によって信頼性が異なります。特に、イギリスのFCAやアメリカのNFAなどのライセンスは取得が難しく、信頼性が高いとされている一方で、セントビンセント・グレナディーンや英領バージン諸島のライセンスは取得が容易で、規制が緩やかです。
海外FX業者を選ぶ際には、金融ライセンスの有無や信頼性を確認することがとても重要です。また各ライセンスの特徴や規制内容を理解し、自身の投資スタイルやリスク許容度に合ったFX業者を選ぶことが大事になります。
なお、金融ライセンスを取得するためには一定の審査が行われ、その際にチェックされる主要なポイントがいくつかあります。
- 資金の流れ
- トレード環境
- カスタマーサポート
- 顧客資産の管理
- 業務運営の状態
金融ライセンスの取得地によって、審査内容や基準は異なる場合があります。審査を通過すれば、FX業者は金融ライセンスを取得でき、ライセンスが一定の信頼を示すものとなります。
しかし、すべての金融ライセンスが同じ価値を持つわけではありません。金融ライセンスの取得難易度、監督機関の有無、規制の厳しさなどによって、その信頼性は大きく異なります。特に、厳格な規制を持つライセンスを取得している業者は、より高い信頼性を獲得できるので倒産リスクも低いです。
世界でもっとも厳しいイギリスのFCA
海外FXにおける金融ライセンスの重要性は高まっており、ライセンスの規制が厳格であればあるほど、その信頼性も増します。
厳格な規制の代名詞とも言える金融ライセンスで代表的なものがイギリスのFCA(金融行動監視機構)です。FCAは「Financial Conduct Authority」の略で、日本では「金融行動監視機構」と訳されています。FCAは政府から独立した機関として、FCAライセンスを持つ証券業者やFX業者の承認や監督を行っています。ちなみに、イギリス以外のFX業者でも、FCAライセンスを取得することが可能です。
FCAの主な目的には、
- 消費者の保護と適切なサポート
- イギリスの金融体系の安全性と持続性の確保
- 顧客の利益のための競争の推進
などがあります。FCAは世界で最も厳格な金融監督機関の一つとして位置づけられているため、FCAの金融ライセンスを取得するためには、資本金やトレーダー資産の管理、顧客サポート、外部監査など、数多くの要件をクリアしなければなりません。さらにライセンス更新時には、業務実態や顧客資産、運営資金などの詳細な報告が求められます。
入出金に関する審査も非常に厳しく、疑念を抱かせるような手続きがあれば、最ライセンスが剥奪されることもあるようです。つまり、FCAライセンスを持つ海外FX業者は、不正な資金引き出しや不正行為がほとんど考えられないことがわかります。
信頼性が高いことで知られているキプロスのCySEC
次にキプロスのCySECも紹介しておきましょう。イギリスのFCAと同様に、その厳格な規制により高い信頼性を誇る金融ライセンスとして知られているキプロスのCySEC。正式名称は「The Cyprus Securities and Exchange Commission」で、日本語では「キプロス証券取引委員会」と訳されています。
キプロスは地中海の東部に位置し、トルコの南にあって親日的な国としても知られている国です。タックスヘイブンとして多くのFX業者がこの国を拠点にしています。特にFX業者は数千社を超えキプロス経済の重要な一部分を占めているようです。
なおCySECは、FCA同様その厳格な審査基準で高く評価されており、設立前の資本金、資産管理方法、サポート体制など、さまざまな項目が詳細に審査されています。そのため、CySECライセンスを取得することは決して容易ではありません。CySEC自体は2001年に設立され、EUに加盟した2004年以降、ヨーロッパMiFiD(金融商品指令)に基づいて運営されている委員会です。ちなみに、CySECライセンスを取得した企業は、ヨーロッパ内での事業運営が可能となります。
CySECの主な目的ですが、
- キプロスの金融市場を投資の魅力的な場所にする
- 投資家の権利の保護と、金融の安定と成長の推進
- 顧客が安全に金融サービスを利用できるようにするための金融機関の監督
などがあります。2016年11月にCySECはその規制を一層強化しており、
- 取引のボリュームに基づくボーナスの提供の禁止
- ゼロカットシステムの導入
- 出金の手続きは原則として次の日までに完了する
などを規定しています。
金融ライセンス一覧
主な金融ライセンスおよびその特徴を、以下にまとめておきました。
国・地域 | 金融規制機関 | 略称 | 特徴 |
---|---|---|---|
イギリス | 金融行動監視機構 | FCA | 取得が難しく顧客資産の分別管理や補償制度が整備されており、高い信頼性を持つ。 |
アメリカ | 全米先物協会 | NFA | 厳格な規制と監督を行い、投資家保護のための制度が充実している。 |
スイス | 金融市場監督局 | FINMA | 銀行ライセンスの取得が必要。顧客資産の保護や透明性の確保に重点を置いている。 |
キプロス | 証券取引委員会 | CySEC | EUのMiFIDに準拠し、ヨーロッパ全域での営業が可能。近年、規制が強化され信頼性が向上している。 |
ニュージーランド | 金融市場庁 | FMA | 厳格な規制を行い、投資家保護を重視している。 |
ベリーズ | 国際金融サービス委員会 | IFSC | 比較的取得が容易で規制は緩やかだが、近年は信頼性向上のための取り組みが進んでいる。 |
バヌアツ | 金融サービス委員会 | VFSC | 取得が容易で規制は緩やかだが、近年は規制強化の動きがある。 |
セーシェル | 金融サービス庁 | FSA | 取得が容易で規制は緩やかだが、信頼性向上のための取り組みが進行中。 |
セントビンセント・グレナディーン | 金融サービス庁 | SVGFSA | 取得が容易で規制は緩やか。投資家保護の制度が十分でないため、注意が必要。 |
英領バージン諸島 | 金融サービス委員会 | BVIFSC | 取得が容易で規制は緩やか。投資家保護の制度が十分でないため、注意が必要。 |