海外FXに確定申告は必要か?

日本では長きにわたる不況などの影響から多くの人が財政的な困難や不安を抱えています。このような状況下で、政府の支援だけに頼らず、自ら資産を増やす手段を模索することはますます重要になっています。そこで資産運用の選択肢としてFXが注目を集めています。

FXには国内FXと海外FXがあり、特に高いレバレッジを利用できる海外FXを選ぶ人が増えている状況です。しかし、海外FXを始めるにあたっては、取引だけでなく確定申告の手続きや税金のルールについても正しい知識を持つことが欠かせません。

この記事では、これから海外FXに挑戦しようと考えている方のために、確定申告に関する詳細な情報をわかりやすくご紹介します。

確定申告とは?

まず、確定申告とは何かを正しく理解することが重要です。確定申告とは、1年間の収入と支出を正確に計算し、その内容に基づいて税金を納めるために行う手続きのことを指します。つまり「これだけの収入がありましたので、この額の税金を支払います」という申告を税務署に対して行うものです。

会社員の場合、多くは勤務先が税金の計算や手続きを代行してくれるため、自分で確定申告をする必要がないことから、不慣れな手続きに対して不安を感じる人も少なくありません。しかし、会社が代行しているのはあくまでもその会社から支払われる給与に関する部分だけ。たとえば、海外FXで取引を行って一定の金額以上の利益を得た場合には、その収益については自分で確定申告を行う必要があります。このため、海外FXを利用する際には、確定申告に関する知識をしっかりと身につけておくことが大切です。

確定申告が必要かどうかは人によって違う

海外FXを始めたからといって、必ずしも確定申告が必要になるわけではありません。確定申告が必要かどうかは、個々の投資成果によって異なります。そのため、自分の状況において申告が求められるかを確認することが重要です。

たとえば、給与所得がある人の場合、海外FXでの年間収益が20万円を超えると確定申告が必要です。一方、給与所得がない方や専業主婦・学生などの場合、年間収益が38万円を超えると申告義務が生じます。このように、確定申告の判断基準は雇用状況や所得額によって変わってくるのです。

海外FXで得た収益は「雑所得」として扱われるため、他の副業などからの収益と合算され、合計額が20万円または38万円を超えた場合には、確定申告を行う必要があります。また、以下の条件に該当する方は、海外FXの利益額に関わらず確定申告が義務付けられることになります

  • 自営業者
  • 給与所得が2,000万円以上の人
  • 複数の企業から給与を受け取っている人
  • 同族経営の会社の役員や親族で、その会社以外からの収入(貸付金の利子など)がある人

確定申告は「知らなかった」という理由で免れることはできません。常に自分に申告義務があるかどうかをしっかり確認することが重要であり、バレないからと逃げるようなことがあってはいけません。脱税は犯罪です。

確定申告で課税対象となるタイミング

海外FXの場合、課税の対象となるのは、取引ポジションをクローズして損益が確定した時点での利益です。ポジションをクローズして得た利益が課税対象となりますが、保有中のポジションに関しては、評価上の利益が発生していても課税されることはありません。

そのため、年末が近づくと税金を節約する手段として、ポジションを翌年に持ち越すことを検討するトレーダーもいます。多くのトレーダーが同じ戦略を取ることから、年末は市場の流動性が低下しやすくなります。このような状況では、価格が急激に変動するリスク、例えばフラッシュクラッシュが起きる可能性が高まります。

税金対策としてポジションを持ち越した場合、その後に大きな損失を被るリスクもあるため慎重に判断することは大事です。税金の節約だけを目的に行動せず、市場状況やリスクを総合的に考慮した取引が求められます。

海外FXの確定申告で押さえておくべきこと

海外FXの確定申告においては、次のような注意しておきたい重要なポイントがいくつかあります。

海外FXは損失繰越ができない

海外FXは損失繰越ができません。損失繰越とは、税務や会計上において、特定の会計期間で生じた損失(赤字)を、翌期以降に繰り越し、その後発生する利益と相殺することを可能にする仕組みや手続きのことを指します。

海外FXをやっていれば、1年間の取引がマイナス収益に終わることもあるでしょう。その場合、翌年に損失分を繰り越したいと考えるのは自然なことです。しかし、海外FXでは損失の繰り越しが認められていません。一方国内FXでは、1年間の損益がマイナスだった場合、確定申告を行うことで最大3年間その損失を繰り越すことが可能です。この違いを理解しておくことが重要です。

出金できないボーナスは課税対象外

国内FXと海外FXはしばしば比較されますが、海外FX特有の豪華なボーナスは、国内FXにはない大きな魅力として多くのトレーダーに注目されています。このボーナスの存在が、海外FXを始めるきっかけとなっている人も少なくありません。

海外FXで提供されるボーナスは主に2種類に分けられます。一つは出金できないボーナス、もう一つは現金として引き出し可能なキャッシュバックボーナスです。ボーナスが課税対象となるかどうかは、ボーナスが出金可能かどうかで決まります。出金できないボーナスは課税対象外となり確定申告の必要はありませんが、出金可能なボーナスは課税対象となるため、確定申告しなければなりませんn。

ボーナスの出金可否は、取引プラットフォームで確認できます。MetaTrader4(MT4)では画面上で、MetaTrader5(MT5)ではツールボックスから確認可能です。トレードに利用できる証拠金は「残高」と「クレジット」の合計で表示されますが、出金可能な金額は「残高」として、出金不可能な金額は「クレジット」として区別されます。

これらの仕組みを理解しておくことで、ボーナスをより効果的に活用できます。

国内FXとの損益通算はできない

国内FXと海外FXではそれぞれの長所と短所があり、どちらが優れているかを一概に決めることはできません。実際、国内FXで思うように収益が上がらないことから、海外FXに切り替えるトレーダーも少なくありません。

国内FXから海外FXに移行する際、確定申告における損益通算が可能かどうかは重要なポイントです。国内FXは申告分離課税で一律税率が適用されるのに対し、海外FXは「雑所得(総合課税)」扱いとなり累進課税が適用されます。そのため、海外FXの利益が大きくなると高い税率で課税される可能性がありますが、国内FXとの損益通算は認められていません。

国内FXでの損失と海外FXで利益がある場合で相殺することはできず、海外FXの利益全額が課税対象となります。損益通算が可能なのは、海外FXと同じく「雑所得・総合課税方式」に分類される収益との間だけです。ただし、複数の海外FX業者を利用している場合、その中での損益通算は可能です。

確定申告の観点から考えると、海外FXに興味のある方は初めから海外FXを選ぶ方が手続きがシンプルで負担が少ない場合もあります。この点を考慮に入れ、自分に適した取引スタイルを選ぶことがおすすめのトレード方法と言えるかもしれません。

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