FXにおける「ピボット」って何?勝てるテクニカル分析について

FXで利益を上げる方法を学ぶ中で、「テクニカル分析」や「ピボット」という言葉を目にすることがあるかもしれません。ただし、このような言葉の具体的な意味まで理解している人は少ないのではないでしょうか。テクニカル分析は相場を予測する手法の一つであり、ピボットはその中で用いられる指標です。

この記事では、テクニカル分析の指標の一つである「ピボット」について詳しく解説します。

テクニカル分析とは?

テクニカル分析とは、市場の過去の価格や取引量などのデータを基に、将来の価格変動を予測する投資手法です。株式や為替、仮想通貨などさまざまな市場で活用され、市場のトレンドや投資家心理を把握することを重視します。

この手法は、「過去の価格パターンは将来も繰り返される」という考えに基づいています。具体的には、価格チャートや出来高の動きを観察し、トレンドや反転のサインを見つけます。トレンドラインを引くことで相場の流れを視覚的に把握し、ヘッド・アンド・ショルダーやダブルトップなどのチャートパターンを使って反転の兆しを読み取ります。さらに、移動平均線やボリンジャーバンド、RSIといったインジケーターを活用して、価格の動きや市場の過熱感を測定します。

テクニカル分析のメリットは、即座に市場の変化を捉え、リアルタイムで対応できる点にあります。ファンダメンタルズ分析のように企業の業績や経済指標を深掘りする必要がなく、短期的な売買を行うトレーダーにとって効果的な手法とされています。ただし、市場が常に過去と同じ動きをするとは限らないため、他の分析手法と併用することが望ましいでしょう。

ピポットとは?

ピボットは、テクニカル分析で相場のサポートやレジスタンスの水準を示す指標です。特に短期売買で活用され、前日の高値、安値、終値を基に翌日の重要な相場の転換点を予測します。ピボットポイントは、市場が特定の価格帯を中心に上下するという考えに基づき、価格の基準点として機能します。

ピボットポイント(PP) =(前日の高値 + 安値 + 終値)÷ 3

さらに、サポートライン(S1, S2)やレジスタンスライン(R1, R2)は次の式で求められます。

第1レジスタンス(R1) =(2 × PP)− 前日の安値
第2レジスタンス(R2) = PP +(高値 − 安値)
第1サポート(S1) =(2 × PP)− 前日の高値
第2サポート(S2) = PP −(高値 − 安値)

ピボットポイントの計算方法はシンプルで、前日の高値・安値・終値を合計し、それを3で割ることで求められます。この値を基準として、高値と安値の差を加減することで、複数のレジスタンス(抵抗線)やサポート(支持線)が算出されます。

例えば、第1レジスタンスは「ピボットポイントの2倍から前日の安値を引く」ことで計算されます。一方、第1サポートは「ピボットポイントの2倍から前日の高値を引く」ことで求められます。

このように、ピボットポイントを中心に上下の価格帯が形成され、相場の重要な目安として機能します。

ピボットは相場の方向性を示す役割も果たします。価格がピボットポイントを上回って推移している場合は、上昇トレンドが優勢と判断されます。反対に、価格がピボットポイントを下回っている場合は、下降トレンドが続いていると見なされます。

また、相場がピボットポイントやレジスタンス、サポートの水準に接近すると、反転の可能性が高まります。この動きを活用することで、エントリーや決済のタイミングを見極めることができます。

ピボットはトレーダーにとって、価格の明確な目安を示してくれる便利な指標であり、短期的な相場の動きを予測する上で欠かせない存在です。

下値支持線(サポートライン)

下値支持線(サポートライン)とは、価格がその水準まで下落すると反発しやすいとされる目安のラインです。一般的に、過去の安値を基に水平に引かれます。

価格がサポートラインに接近すると、安値で買いたいと考えるトレーダーが増え、売り圧力が弱まることで買いの勢いが強まる場合があります。その結果、価格が反発しやすくなり、サポートラインが維持されることが多く見られます。しかし、市場全体の売り圧力が強い場合にはサポートラインを下回ることがあり、その際は次のサポートラインが新たな目安となります。

上値抵抗線(レジスタンスライン)

上値抵抗線(レジスタンスライン)とは、価格が上昇した際に、それ以上上がりにくくなる水準を示すラインです。多くのトレーダーがこの水準で利益確定の売りを行うため、価格がレジスタンスラインに近づくと反落することがよくあります。

レジスタンスラインは、過去に何度も価格が上昇を阻まれた水準を基に引かれ、相場の天井圏として意識されます。

ただし、強い上昇トレンドが続く場合にはレジスタンスラインを突破することがあり、その際は抵抗線がサポートラインへと変わる場合があります。この現象は「レジサポ転換」と呼ばれます。

ピボットの特徴

ピボットの計算は、主に日足のデータを基に行われます。これは、30分足や4時間足といった短時間足で計算した場合、十分な効果が得られにくいためです。短時間足で求めたピボットは、相場の動きを正確に反映しづらく、精度が低下する傾向があります。

一方で、日足を使ったピボットは、誰が計算しても同じ結果になるという利点があります。日足を基に算出されるピボットは「デイリーピボット」と呼ばれ、その日の相場において重要な目安として多くのトレーダーに活用されています。デイリーピボットは計算がシンプルで、複雑な分析を必要としないため、日常的に使いやすい指標です。

ピボットは実際には7本の水平線で構成され、それぞれが相場の重要な価格帯を示します。

  1. レジスタンス3(HBOP)
  2. レジスタンス2
  3. レジスタンス1
  4. ピボットポイント
  5. サポート1
  6. サポート2
  7. サポート3(LBOP)

ピボットを利用する際の注意点

ピボットを活用する際には、いくつかの重要なポイントに注意が必要です。

まず、ピボットポイントは過去の価格データを基に計算されるため、将来の価格変動を完全に予測できるわけではありません。あくまで相場の目安として捉え、他のテクニカル指標やファンダメンタルズ分析と併用することが望ましいでしょう。

ピボットポイントやサポート・レジスタンスのラインは、多くのトレーダーが意識するため、一時的に反発や反落が起こりやすい傾向があります。しかし、必ずしもその価格帯で相場が止まるとは限りません。

特に強いトレンドが発生している場合は、ピボットラインを簡単に突破することがあります。そのため、こうした状況ではピボットが十分に機能しない可能性があるため、相場の勢いを慎重に見極めることが重要です。

ピボットは日足データを基に計算されることが多いため、短時間足での相場分析に適用する際は過信しないことが重要です。短時間足ではノイズが多く、ピボットポイントだけを頼りにエントリーするとダマしに遭う可能性があります。短期トレードでは、ピボットポイントを参考にして大まかな方向性を確認しつつ、ローソク足の動きや出来高などを併せて分析することが求められます。

また、ピボットポイントは市場のオープンとクローズが明確な市場で特に効果を発揮しますが、24時間取引が行われる為替市場では、計算に用いる時間帯によって結果がわずかに異なる場合があります。そのため、ピボットの値が市場やFX業者ごとに微妙に異なることがあり、複数のデータを参照して判断することが有効です。

ピボットは便利な指標ですが、万能ではありません。リスク管理を徹底し、柔軟に活用する姿勢が求められます。

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